【英語学習】イギリス人作家ジョージ・オーウェルの名言から学ぶこと


1903年当時イギリスの植民地だったインドで生まれた作家のジョージ・オーウェル。彼の作品や評論は英語圏ではとても人気があり、高校では英語の教材として利用されています。今回のブログ記事ではそんな有名作家の名言から英語学習について学ぶべきことをご紹介していきます。

ジョージ・オーウェルが作品で生み出した新しい英語の言い回しや表現は、現在では一般的に使用されています。もっとも有名なものは、SF小説の**『1984』**で支配者の名前として登場する “Big Brother” でしょう。有力者(主に政府)が人々を監視しているという意味で使われます。

イギリスやアメリカなどで放送されているリアリティ番組(数ヶ月間他人と生活をし最後まで残った人が賞金を得るというもの。生活をカメラでずっと監視されて、視聴者はそれを楽しむ番組です。)はこのジョージ・オーウェルの小説からヒントを得て番組名を『Big Brother』と名づけました。

英語の新しい表現と発想を大衆化させるだけではなく、オーウェルはもっと大きな影響を英語学に起こしたかったのです。彼の英語は意図的ににシンプルで複雑な表現は出来るだけ少なくするようなスタイルで書かれています。 実際、オーウェルの数ある名言の中でも有名なものに ‘Never use a long word where a short one will do – 短い言葉で用が足りる時に、長い言葉を使うべきではない’ というものがあります。

彼の作品 『Politics and the English Language – 政治と英語』 では一歩踏み込み、政府は複雑な言語を使い本来の意味を一般市民に隠しているということを指摘し、明確で適切な表現を使うことが国全体にとって重要であると著書で述べています。

政治家たちはこの指摘を認め、今日も “the Plain English Campaign” というキャンペーンで明確さと簡潔さを強調すべきだということを唱えています。

では、このことから英語を学習している私たちが学べることは何でしょう?

語学を勉強している時、私たちは知っている単語や構文の中でももっとも難しいものを使いたくなってしまうものです。そうすることによって、練習にもなりますし、高い英語力を見せびらかすのは楽しいですからね。

でも、毎回難しい英語を話す必要はありません。シンプルな英語を話したり書くことがベストの場合もあります。特に、伝えたいことがとても重要で、相手にとってわかりやすく簡潔で理解しやすいものであるべきの時などです。 たとえば、バーで英語圏出身の友人と話している時などには、新しい英単語や言い方を練習してみても何の問題もありません。もし、相手が理解できなくても、そこまで気にする必要はありません。

しかし、とても重要なメールを取引先に書く場合はどうでしょう? 覚えたばかりの難しい英語を使い誤解されてしまうよりも、シンプルでクリアな英語を使ったほうがいいですよね。

そんなジョージ・オーウェルのアイディアに影響され**『The Complete Plain Words』**という本がイギリス政府の公務員アーネスト・ガワーズによって1954年に出版されました。この書籍は現在にいたるまで版が途絶えたことがありません。この本が英語を話す人たちにとって、半世紀以上もの長い間役に立ってきたことはいうまでもありません。

この書籍を見かけることがあれば、ぜひ読んでみてください。英語のライティングを向上させるのにぴったりの一冊です。もし、見つけることができない場合は、ジョージ・オーウェルが掲げた “when it’s vital that people understand, keep it simple!” を心がけて英語を書くようにしてみてください。

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