イギリス生活:あるイタリア人の帰郷


【イギリスからイタリアへの帰郷】

どれだけ長い間離れていたとしても、どれだけ遠くまで旅をしていたとしても、イギリスからイタリアに帰郷すると私はいつも、くつろいだ気分になります。子供のころから使っている食卓に座り、人生の半分を過ごしたベッドで眠るときの感覚は、いつまでも大切にしていきたいものです。けれども、海外生活を送ることこそが、故郷をもっと楽しませてくれるともいえるのです。

【海外生活のもう一つの利点】

新しい事柄を経験し、新しい人に出会い、新しい言葉を習得することの魅力は、海外生活の最もよい部分です。でも私は、何年間も休暇時に故郷の友人や家族を訪れた後で、自分の育った場所の良さがわかるようになるという、イギリスでの海外生活の、もう一つの大きな利点を知ることができました。

母の手料理、父の大事な人生学、友達との地元のうわさ話、いつもの食べ物や飲み物の匂いや味も、昔は当たり前のものだと思い込んでいました。けれども、車で実家に帰る途中に、昔通っていた学校の前を通り過ぎると、自分の生い立ちや、こういった環境の中で育ったおかげで身についた大切な価値観を思い出します。

こういった短い帰郷が、故郷であるこの街を満喫するのと同じくらい、私に海外生活を送る動機を思い出させてもくれます。そして、少なくとも今の段階では、私のイタリアでの生活は幕を閉じたのだと思わざるを得ないのです。自分の人生のチャンスを最大限に活かすためには、自分が心地よいと思う領域から外に出て、新しい言葉を習得し、外の世界が提供してくれるものを経験しなくてはならないのです。

なぜならば、最終的には、故郷で経験できるものはすべて、いつもそこにあり続けるからです。

Costanza Pasqua

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